熊本県議会 > 2018-12-10 >
12月10日-05号

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  1. 熊本県議会 2018-12-10
    12月10日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成30年11月 定例会               第 5 号               (12月10日)  平成30年  熊本県議会11月定例会会議録     第5号平成30年12月10日(月曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  平成30年12月10日(月曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 第2 議案等に対する質疑(第1号から第37号まで) 第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第37号まで) 第4 請願の委員会付託 第5 休会の件  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について) 日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第37号まで) 知事提出議案の上程(第38号から第46号まで) 知事の提案理由説明 人事委員会の意見(第45号及び第46号) 議案に対する質疑(第38号から第46号まで) 日程第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第46号まで) 日程第4 請願の委員会付託 日程第5 休会の件    ――――――○――――――出席議員氏名(47人)            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            前 田 憲 秀 君            岩 田 智 子 さん            濵 田 大 造 君            磯 田   毅 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            西   聖 一 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            浦 田 祐三子 さん            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            森   浩 二 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            岩 中 伸 司 君            城 下 広 作 君            氷 室 雄一郎 君            鎌 田   聡 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            小 杉   直 君            前 川   收 君            西 岡 勝 成 君            山 本 秀 久 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  坂 本   浩 君     総務部長   池 田 敬 之 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 古 閑 陽 一 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            磯 田   淳 君     部長     農林水産部長 福 島 誠 治 君     土木部長   宮 部 静 夫 君     国際スポーツ            小 原 雅 晶 君     大会推進部長     会計管理者  能 登 哲 也 君     企業局長   原     悟 君     病院事業            三 角 浩 一 君     管理者     教育長    宮 尾 千加子 さん     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            出 田 孝 一 君     委員長     監査委員   濱 田 義 之 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 田 勝 也     事務局次長            横 井 淳 一     兼総務課長     議事課長   中 村 誠 希     審議員兼            村 田 竜 二     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(坂田孝志君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(坂田孝志君) 日程に従いまして、日程第1、7日に引き続き一般質問を行います。 小早川宗弘君。  〔小早川宗弘君登壇〕(拍手) ◆(小早川宗弘君) 皆様、おはようございます。自由民主党・八代市・郡選出の小早川宗弘でございます。今回で15回目の質問となりました。質問ができ上がると、毎回同じような質問になってしまうなあというふうに思いますし、あんまり新鮮さは感じない質問でありますけれども、しかしながら、私なりにこだわりを持って質問をつくりましたので、先生方には、退屈な時間かもしれませんけれども、しばらくの間おつき合い願いますようにお願いいたします。また、執行部の皆さん方にも簡潔で前向きな答弁をお願い申し上げて、発言通告書に従って質問させていただきます。 1番目の質問は、県南振興についてで、2つほど質問いたします。 まず1点目は、県南フードバレー構想についてです。 平成25年3月に、くまもと県南フードバレー構想が策定され、ことしで丸5年がたちました。 県南フードバレー構想とは、県南地域の豊かな農林水産物を生かし、食関連の研究開発機能や企業を集積させる地域振興策でありまして、5年間の取り組みの中で、少しずつその成果も出てきて、フードバレーという言葉も地域に浸透しつつあります。 また、平成25年7月に、この構想を具体的に推進するための協議会も設立され、平成27年にはフードバレーアグリビジネスセンター、通称ABCも稼働しています。協議会の活動としては、商品開発への支援や県内外での販路拡大、また、後から説明しますが、RENGAブランドの普及と確立、異業種交流会やマスメディアを使った情報提供など、幅広い活動が行われております。 また、ABCにおいては、より高度で専門的な観点から、食品の成分分析や新しい技術を駆使した商品開発、また、農業者と商品製造業者とのマッチング事業などが行われ、これまで多くの商品が完成しています。特に、ABCには、野菜や果物を裏ごしして滑らかにするピューレ加工ペースト加工、また、粉末加工ができる調理機器が設置され、利用者もかなり多い状況です。 先日、八代商工会議所の会員大会があり、その大会の中で、高校生による地元食材を使った商品開発の事例が発表されました。八代東高校では「トマトかつ丼」が発表され、八代農業高校では「トマト味噌」の商品が紹介されましたが、どちらもABCと連携する中で商品を完成させたということで、こういった若い人たちがフードバレーにもかかわっていて、大変驚いた次第です。 このように、フードバレー構想も、協議会やABCを中心に活発に展開されておりますが、しかし、一般の人からすると、その取り組みを身近に感じることは少なく、本構想によって商品化されたものなど、さほど知られておりません。もっと県南フードバレー構想を県下に知らしめ、地域一体となって、本構想を盛り上げていくことが必要です。 そこで、フードバレー構想をより多くの人に理解してもらうための取り組みをどう考えているのか、フードバレー構想を引っ張ってきた小野副知事に質問いたします。 また、フードバレー構想によって生まれた商品や製品を統一したブランドで販売するため、RENGAブランドづくりが平成28年4月から始まっております。 (資料を示す)このスライドの左がRENGAのロゴマークで、右側がRENGAの入った商品です。現在、どんな商品がRENGAブランドになっているのか、どこで販売されているのかなど、ほとんど知られておらず、ブランドに知名度がありません。 そこで、RENGAという言葉の語源は何なのかということも含めて、今後のRENGAブランドの普及展開をどう考えているのか、小野副知事に質問いたします。  〔副知事小野泰輔君登壇〕 ◎副知事(小野泰輔君) 県南フードバレー構想を多くの方々に御理解をいただくためには、まず何よりも、県南の豊かな農林水産物を生かした事業者の方々の中から数多くの成功事例が生まれ、県南地域全体が活性化することが重要であると考えております。 このため、初めに、事業者向けの活動として、この指とまれ方式で、くまもと県南フードバレー推進協議会を設立し、売れる商品の開発や販路拡大に取り組んでまいりました。 この協議会の会員数は、設立当初は370者でございましたけれども、現在では860者を超えております。今後は、会員数の増を図るだけではなく、既存会員も含めた活動の活性化に努めてまいります。 次に、事業者みずからが取り組む農林水産業の6次産業化や商品開発を支援する拠点施設として、フードバレーアグリビジネスセンターを設置いたしました。開設から3年半で延べ2,356件の相談・利用件数があり、95件の商品化につながっております。 議員から御紹介をいただきました、八代商工会議所での高校生による商品開発の事例は、未来を担う若者によるフードバレーへの参加であり、大変うれしく思っております。 さらに、昨年4月には、九州産交グループが出資し、県南フードバレーを支える地域商社であるKASSE JAPANが誕生いたしました。路線バスを活用した客貨混載システムを構築するなど、少量で多品目の商品を県南地域一体となって県内外へ売り込む仕組みが確立いたしました。現在、協議会と連携をしまして、福岡県の西鉄ストアや県南の物産館、空港売店等の専用ブースのほか、通販サイトを活用し、販路拡大に注力をしております。売上高も2億円超に達しております。これからも、多くの皆様にぜひ、お歳暮などギフト用に通販サイトを御利用いただければと思っております。 これまで述べてまいりました、成功する事業者を一つでも多くふやすための取り組みに加えまして、事業者以外の一般の方々にフードバレーを認知していただくためには、県南の食にスポットを当て、それを目当てに県南地域に来ていただくことが効果的と考えております。このため、商工や観光分野の事業者と連携した、県南の魅力発信に取り組んでまいりました。 例えば、イチゴ、晩白柚、クリなど、県南地域の旬の食材を使った商品が地域内の飲食店で味わえる御当地グルメや、行楽シーズンの秋、冬に、県南の観光地をめぐってお買い物されたレシートで、県南特産品が当たるレシートラリーキャンペーンを展開しております。そのほか、オープンルーフでの食事や収穫体験等が楽しめるフードバレーレストランバスツアーの催行など、県南の魅力である、おいしいを身近に感じていただいております。 今後とも、地域の事業者や住民の方々にフードバレーを身近に感じていただけますよう、このような取り組みを推進してまいります。 次に、くまもと県南フードバレーのブランド、RENGAの普及展開についてお答え申し上げます。 RENGAブランドは、県南産品の魅力を発信していくために立ち上げた地域ブランドでございます。その語源でございますが、熊本県の熊という漢字の下の4つの点の部首名が「れんが」という名前であったためでございます。「火の国・熊本の魅力を南から熱く支える」という意味を込めまして、4つの点と部首名である「れんが」をロゴデザインとしております。 RENGAブランドの普及展開については、これまで、協議会とKASSE JAPANで共同開発した商品や、地元高校生のアイデアで商品化された大手コンビニの袋パンのパッケージ、県内外の常設販売コーナーにおけるロゴの掲示など、浸透を図ってまいりました。 しかしながら、議員御指摘のとおり、商品数や販売箇所が少なく、知名度も低い状況でございます。これは、RENGAブランドの商標の法的手続に時間を要したためでございますけれども、今般、ようやく手続が完了いたしました。 今後は、協議会会員商品デザイン等に関する支援協定を締結しております、地域ブランドデザイン研究所と連携をしながら、これまで以上に商品に磨きをかけ、高品質で地域の価値を高める商品をRENGA商品として打ち出し、地域ブランドとしての価値を高めてまいります。 構想の実現は一朝一夕にはできませんけれども、多くの方々にフードバレーの取り組みを御理解いただけるよう、一つ一つ成果を積み重ねてまいりたいと考えております。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) もう一度スライドを――出ますかね、RENGA......(資料を示す)このRENGAのマークは、熊本の「れんが」の部首をとられたということで、今後の課題は、どれだけこのRENGAのマークの入った商品がつくれるか、それが非常に重要なポイントになってくるんではないかなというふうに思います。商標の法的手続に時間がかかったというふうなことで、できるだけ多くの商品をこのRENGAブランドとして販売をしていただきたいと思います。 また、このRENGAブランドを広げることが、実際フードバレーを身近に感じることにつながる、フードバレー構想の普及にもつながってくるというふうに思いますし、さらには県南の食のブランドづくりという意味ではとても大切な取り組みですので、ぜひとも積極的な取り組みをお願いいたします。 それでは、次の質問に移ります。 2点目の質問は、やつしろ物流拠点構想の取り組みと国際クルーズ船の最近の動向についてであります。 さて、八代港も、関係者の御協力で各種整備も順調に進み、九州の中でも極めて存在感のある港になっております。特にハード面の整備では、国直轄事業の水深14メーター岸壁の整備が終了し、現在は水深14メーター航路クルーズ船専用の耐震岸壁が整備中で、県でもフルガントリークレーンと新コンテナヤードが完成し、物流と人流の2つの拠点地区が完成しつつあります。 そのような中、去年9月に、やつしろ物流拠点構想が策定され、港の利活用促進とともに、民間投資を活発化させる取り組み、企業誘致を実現させる取り組みが進行中です。 また、地元でも本構想を確実に進めたいということで、民間期成会も発足し、私たち県議も顧問としてメンバーに入っておりますが、とりわけ、本構想にも掲げられている企業誘致の受け皿となる用地の確保については、必ず実現したいという思いであります。 さらに、10月には、坂田議長に要望書が提出されましたが、その中で、構想の進みぐあいがよく見えないといったことや、用地の確保については積極的に取り組んでほしいといった意見も出たところです。 現在、港周辺は、既存企業の立地でいっぱいの状態で、県の工業用地も残り3ヘクタールとなっています。また、物流関連企業の設備投資も盛んで、工場や倉庫の増設も多く、さらには、コンテナ取扱量も、去年、2万TEUを超え、過去最高となりました。 このように、八代港が活況を呈する中で、企業誘致の受け皿となる新たな用地を確保していくことは、八代のみならず、県南振興の大きな原動力になると考えます。 そこで、本構想を推し進め、具体化、実現していくための体制をどうしていくのか、今後多くの企業の進出を図っていくための新たな用地をどうしていくのか、商工観光労働部長に質問いたします。 また、先ほども触れましたが、八代港は、現在、国際旅客船拠点形成港湾に指定され、各種整備が進行中です。県では、大型バス駐車エリアを整備し、ロイヤル・カリビアン・クルーズ社旅客ターミナルとその周辺整備を進め、2020年4月には供用が開始されます。 国際クルーズ船は、数年前から八代港に寄港するようになりましたが、去年が65隻、そしてことしは約30隻と寄港数が半減し、先日の新聞でも話題となっております。クルーズ船の寄港に関しては、地元消費が少ないこと、外国人のマナーの問題などいろいろと課題はありますが、しかしながら、来ていただかないことには、地域の振興にはつながりませんし、一連の基盤整備も無駄になってしまいます。 そこで、ことしの国際クルーズ船の寄港回数が減少した理由について、どういったことが原因なのか、また、今後の国際クルーズ船の展望をどう考えているのか。この質問に関しては、土木部と商工観光労働部が関係しておりますが、先ほどの質問とあわせて、商工観光労働部長からお答えをいただきたいと思います。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) まず、やつしろ物流拠点構想の取り組みについてお答えいたします。 構想の実現に向け、八代地域の物流拠点としての機能を高めるため、八代港や幹線道路のインフラ整備物流関連企業の誘致、既存航路の利用促進を図るコンテナ助成新規航路開設に向けた誘致活動など、物を集め、販路を拡大する取り組みを積極的に進めております。 また、物流拠点を支える人材の育成や確保、道路法の改正に基づく安定的な物流確保に向けた重要物流道路の指定検討などにも取り組んでいくこととしております。 これらを推進する体制として、本年4月に、小野副知事をトップに関係部局で構成するやつしろ物流拠点構想推進チーム会議を発足しました。この会議により、各部局にわたるさまざまな取り組みや課題を共有し、有機的に連携を図ってまいります。 また、八代市や地元期成会を初め、関係機関とも一層の連携を行い、構想の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、新たな用地についてですが、物流拠点としての機能を高める取り組みの一つに企業誘致があり、企業のニーズに応じた用地を提供できることも重要と認識しております。 現在、県では、立地の可能性や立地条件など、物流関連企業のニーズを把握するため、1,000社を対象とした物流企業立地動向調査を進めております。 この調査結果も踏まえながら、民有地の利活用も含めた用地確保のあり方について、八代市とともに検討を深めてまいります。 最後に、国際クルーズ船の動向についてお答えいたします。 ことしの減少には、大きく3つの要因があると考えております。1つ目は、航海日数が長いクルーズが増加していることです。2つ目は、各船会社が中国発のクルーズに回す船の数を減らしていることです。3つ目は、他地域の港湾整備が進み、大型船を受け入れ可能な港がふえていることです。 一方、国は、アジアのクルーズ人口は今後も増加すると予想しており、海外の船会社も新たな船の建造を進めております。八代港の来年の寄港見込みも、現時点で約60隻となっており、長期的には市場は着実に成長すると考えております。 ただ、国内港湾間の競争も激しさを増していることから、楽観視することなく、船会社や旅行会社などへの誘致活動を一層積極的に進めてまいります。 さらに、本県では、国やロイヤル・カリビアン社と連携し、2020年4月の供用開始に向け、八代港のクルーズ拠点整備を進めております。先週からスタートした同社の実務責任者との議論も踏まえながら、くまモンの活用も含め、他港にはない、独自の魅力を生み出せるよう取り組んでまいります。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) 御答弁いただきましたけれども、とにかく地元では、企業誘致の受け皿となる用地の確保については非常に関心が高くて、また、大きな期待がありますので、ぜひ具体化、実現できるように、用地のあり方検討も含めて取り組みを充実させていただきたいと思います。 また、推進体制として、小野副知事をトップとした推進チーム会議を発足されているというふうなことで、小野副知事には、フードバレーも物流拠点も、2つ大変かと思いますけれども、しかしながら、小野副知事は、毎年八代妙見祭には参加をしていただいておりますし、定期的に八代のまちづくりグループとも意見交換をされているというふうなことで、もう八代のことは十分に把握されている、十分に御存じかと思いますので、そういった経験を生かしながら、そして、やっぱり八代市や民間期成会とも情報交換しながら、この構想を着実に進めていただきたいというふうに思います。 それから、クルーズ船についてでありますけれども、来年は回復傾向にあるというふうなことでありますし、将来の展望も明るい材料があるというふうなことで、ぜひ、ほかの港の大型化も進んでいるようでありますので、地域間競争も激しくなるかと思いますけれども、ポートセールスなどを含めて八代港を強く売り込んで、将来は200隻のクルーズ船が来るように、各種取り組みを充実させていただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に移ります。 2番目の質問は、警察官の増員についてであります。 警察官の増員については、平成12年ごろからその課題が指摘されております。特に、熊本県において警察官の増員が必要と言われるのも、警察官1人当たりの負担人口が他県と比較して高いからであります。平成30年4月現在、熊本県では、警察官1人当たりの負担人口は589人でありまして、全国警察官の1人当たり負担人口の500人と比べて89人も多いことがわかります。 また、九州の中で見ると、警察官負担人口が最も低いのは長崎県の455人、次いで佐賀県の490人ですが、熊本県は、九州・沖縄8県の中では最も負担人口が多く、また、全国でも11番目に高い数字になっています。 このようなことから、熊本県では、長年にわたって警察官の増員が大きな課題となってきたところであります。 また、負担人口が高いということは、逆に県民1人当たりの警察官数は少ないということですが、現在、熊本県の治安状況を見ると、警察官の割合が他県と比べて少ないにもかかわらず、平成29年の検挙率は48.9%となっており、全国検挙率35.7%と比較してもかなり高く、本県の治安情勢は良好なものと言えます。 さらに、平成27年に警察庁が行った都道府県別の体感治安と警察信頼度調査によると、体感治安については全国11位の順位、また、警察信頼度については全国5位と、かなり高い順位で、県民の多くが、熊本の治安のよさを感じつつ、なおかつ県警に対する信頼感を持ちながら暮らしているということがわかります。 このように、県民の体感治安が高いのであれば増員は必要ないのではという声が聞こえてきそうですが、警察官は、突発的な事件や事故や災害などの危険な現場に、休日、夜間を問わず対応し、その負担はかなり高く、日々の勤務も苛酷ではないかと思われます。 しかしながら、現在、働き方改革が進む中で、今後、警察官も適切な勤務時間が求められますし、また、将来優秀な人材を確保するためにも、多忙過ぎる勤務実態は改善していかなくてはなりません。 地方警察官の増員は、警察庁の増員計画に大きく左右され、平成14年から19年ごろまでは、緊急増員の時期で、本県でも毎年20人から30人の増員でしたが、最近は、ゼロの年もあれば、10人に満たない年もあり、今後は、思ったように増員ができないのではないかと懸念されます。 警察官の増員については議会でも理解が深まっていますが、改めて、どのような目標や目的を持って増員するのかなど、県民に示し、理解を得ておくことも必要です。 そこで、警察官の増員について、どれぐらいの数を目安に増員を考えているのか、また、増員によって期待できる効果はどういうものなのか、さらにはどうやって増員を図っていくのか、警察本部長に質問をいたします。  〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌君) 本県警察官1人当たりの負担人口は、589人で、全国あるいは九州各県と比較して、高い水準となっております。 このような中、本県では、平成14年以降、318人の警察官が増員されました。これは、県議会の皆様が関係省庁に対して働きかけていただいた成果であり、御尽力に対しまして改めてお礼申し上げます。 警察官増員の目安につきましては、平成12年7月の警察刷新に関する緊急提言において、当面、警察官1人当たりの負担人口が500人となる程度まで地方警察官の増員を行う必要があると示されており、この水準に近づけることが一つの目安となるものと考えています。 全国警察の喫緊の課題を踏まえ、計画的に増員が行われており、ストーカーやDV等への対処、振り込め詐欺対策、サイバー犯罪対策などに的確に対応した体制等が一層強化され、県民の安全、安心の確保に相当な効果が期待できることから、引き続き、県民の皆様の御理解と県議会の御協力を得ながら、警察庁など関係省庁に対して、警察官の増員を要望してまいります。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) 御答弁をいただきましたけれども、私も、県議になりましてから早いもので16年目を迎えておりますが、この間、ずっと警察官の増員ということは言われ続けてきましたし、いつになったらその課題が解消するのかなというふうに疑問に思っておりました。 答弁では、警察官1人当たりの負担人口が500人になる程度までの増員を一つの目安に警察官の増員を図っていくというふうなことで、これは、あと89人ぐらい増員しないといけないかというふうに思いますけれども、ぜひ計画的に増員を図っていただきたい、その数値を目安に、早く達成できるように増員を図っていただきたいというふうに思います。 また、県警では、年2回、警察庁などの関係省庁に要望活動をされているというふうなことでありますけれども、ぜひ蒲島知事とか副知事とか県のトップも同行されて、もう行かれているかと思いますけれども、そういう要望活動をさらに充実をしていただきたい。警察官1人でも増員ができるように、県執行部も一体となって、警察本部と要望活動をしていただきたいというふうに思います。 次の質問に移ります。 3番目の質問は、熊本県における建築文化の情報発信についてであります。 今回も建築行政を取り上げ、熊本の建築文化を広く国内外に発信していくべきという視点で質問をいたします。 つい先日、上通を歩いておりましたら「建築の森・熊本を歩く」と題された本の宣伝ポスターを見かけました。この本でありますが......(資料を示す)緻密な建築の絵が表紙に書いてあり、ぐっと心を引かれ、本を見て、多分政務活動費で落とせると考え、領収書をもらい、購入して一気に読んでしまいました。 著者は、現在熊本大学大学院教授の田中智之先生ですが、長らく出身校である早稲田大学で学生の指導をされ、2005年から熊大で教鞭をとられている先生です。特に、同氏が描くパース、いわゆる建築透視図は有名で、田中先生が描くパースは「タナパー」とも呼ばれ、建築や都市をレントゲンで透かしたように描く図は、多くの人からも評価を受けています。 (資料を示す)せっかくでありますので、4つほどそのパースを御紹介します。 1枚目、左側は旧細川刑部邸の鳥瞰図で、右側はおなじみの熊本中央警察署ですね。見るべきポイントなどもまとめて書かれております。 次、お願いします。 (資料を示す)左側は山鹿の八千代座の内観図、右は通町筋にある日本郵政グループ熊本ビルであります。どれも建築のおもしろさや魅力が伝わってくるパースとなっています。 実は、11月末から12月5日まで、東京の建築会館で田中先生の描いた建築原画展が開催され、私も見てきましたが、絵のすばらしさに加え、熊本の建築がこうやって東京で紹介されていることに、郷土の誇りを感じたところです。 また、この本の冒頭には、こういったことが書かれております。中略して紹介をしますが、「漱石が第五高等学校に赴任した際、京町台地から眼下のまちを眺め「森の都だな」とつぶやいたのはあまりにも有名な話。ですが、今彼が熊本のまちを見渡したら「建築の都」あるいは「建築の森だな」とツイートするかもしれません。」ツイートというのはつぶやくということですね。「そう、今熊本は日本中いや世界が注目する建築都市なのです。」「まずは熊本城をはじめとする城郭、武家屋敷、町家など、江戸時代からの城下町建築が数多く残っています。」「加えて明治・大正期の近代建築も豊富です。」「そして現代建築では「くまもとアートポリス」が有名です。」云々と書かれておりますが、まさに熊本は、近世から近代、そして現代と時代を象徴する建築物の宝庫となっています。 しかしながら、どうもそういった貴重な資源がうまく生かされていないような気がいたします。もっと情報の見せ方、発信の仕方など工夫して、熊本の建築文化を国内外に宣伝し、観光資源として役立てたり、あるいは映画やドラマのロケ地になるように戦略的な広報をしたり、また、県民にも関心を持ってもらい、熊本の豊かさを実感して生活してもらうなど、幅広い取り組みを進めていくべきだと考えます。 そこで、熊本が誇る建築文化をもっと国内外に情報を発信して地域振興に結びつけることが必要ですが、その取り組みをどうしていくのか、土木部長に質問をいたします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 本県では、豊かな自然や歴史、風土を生かしながら、後世に残り得る文化的資産としてのすぐれた建造物をつくる、くまもとアートポリスに取り組んでおり、くまもと景観賞なども含め、熊本のすぐれた建築物の周知を積極的に進めております。 また、本県には、世界遺産を初めとする歴史的建造物も多く、議員御指摘のとおり、多世代にわたる文化的資産が豊富にあると認識しております。 これらを活用して、観光の拠点化や交流人口の増加など、地域振興を図るためには、多方面への情報発信が非常に重要と考えております。 情報発信の具体的な取り組みとしましては、これまで熊本県観光サイトなごみ紀行やフェイスブックなどを活用してきました。今後は、新たな情報発信ツールの導入や映画、ドラマの撮影場所等の誘致を行っているフィルムコミッション、くまもとロケーションナビ等への紹介、さまざまな旅行ツアーを企画する代理店への紹介などを検討したいと考えております。 また、くまもとアートポリスでは、次世代を担う子供たちを対象とした空間づくりのワークショップである、こども建築塾を開催しており、ことしは、県内各地から定員の3倍を超える参加希望者がありました。その際、多くのボランティアの方々にも子供たちの作品づくりの指導などに御協力いただきました。 このような人材育成の取り組みで築いた人的ネットワークを活用した情報発信も、多方面に波及効果があると考えております。 今後とも、関係者と連携し、より多くの皆様にすぐれた建築文化と触れていただくことができるよう、広域的で効果的な情報発信と環境づくりに取り組んでまいります。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) 御答弁をいただきましたけれども、熊本の建築文化については、アートポリス以外でも、非常に歴史的価値、あるいは価値が高い建築物が数多く県内には存在することになりますし、また、地域文化の象徴となっている神社、仏閣なども含めると、県内には相当数の、膨大な建築的資産があると思いますので、ぜひ新しいアイデアや、また、SNSなどの情報ツールなども駆使しながら、この熊本の建築文化を大いに宣伝して、地域振興に結びつけていただきたいと思います。 それから、熊本の建築文化への理解を今後広げていくためにも、また、将来に継承していくためにも、答弁にありますような、こども建築塾などの取り組みは非常に大切で有効だというふうに思いますので、ぜひ、こういった人材育成などの取り組みもあわせて、熊本の建築文化をさらに前進させていただきたいと思います。 では、次の質問に移ります。 4番目の質問は、発達障害児などが利用する放課後等デイサービス事業所についてです。 現在、発達障害児を含め、障害児が通う支援事業所には、未就学児を対象とする児童発達支援事業所と、就学児を対象とする放課後等デイサービス事業所などがあります。これらの事業所の中でも、特に放課後等デイサービス事業所については、全国的にも急増しており、この5年間で4倍以上に増加をしている状況です。 本県においても、平成25年度から平成29年度までの5年間で、47カ所から250カ所へと、約5倍に増加し、さらに、延べ利用者数も約4倍増、4万4,000人が利用している状況になっております。 ところが、事業所の中には、利益を追求する余り、専門性を有しない事業所もあるというようなことで、単にテレビを見せるだけ、単に宿題を手伝うだけといった適切でない支援を行っている事業所も増加しているようで、新聞報道などでも、その問題点が指摘されています。 そのような中、国においては、事業所の質を改善するため、療育の中核を担う責任者の資格要件を厳しくし、さらには、配置すべき職員についても一定の実務経験者に限るといった条件が設けられるなど、療育にかかわる人材の専門性や基準が厳格化されています。特に、発達障害の子供には、早い段階から社会への適応訓練を行うことが重要で、障害特性に応じた専門的な支援を行うことが求められています。したがって、事業所には、子供の状況を的確に把握し、保護者との面談や相談を行いながら適切な療育を行うといった、とても重要な役割があります。 私も保護者と話す機会がありますが、事業所に預けている間は仕事や家事の時間がとれてとても助かる、また、子供も楽しく通っているから問題ないのではと言われる親御さんもいて、事業所の質は、保護者側からは判断しづらいものとなっています。 しかしながら、あくまでも放課後等デイサービス事業所は、子供を療育する場であり、また、子供にとっても適切な支援を受ける大切な時期で、しかも、1日1人6,000円ほどの給付費が公費から支払われているということを考えると、専門性を有しない事業所については改善を促すことが必要です。 そこで、放課後等デイサービス事業所の質の向上について、県はどのように取り組んでいくのか、健康福祉部長に質問をいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) 発達障害児などが利用する放課後等デイサービス事業所についてお答えをいたします。 議員御指摘のとおり、放課後等デイサービス事業所が全国的に大幅に増加する中、国の社会保障審議会においても、事業所が単なる居場所となっている事例や、発達支援の技術が不十分な事業所の増加が指摘されるなど、支援内容の適正化と質の向上が求められているところです。 本県においても、さまざまな事業者による参入が進み、身近な地域での支援が可能となってきている一方、市町村等からは、事業所間の療育の質の差が広がっていることへの懸念や支援者へのスキルアップを望む声も上げられています。 このため、県としても、放課後等デイサービス事業所の質の向上に向けた取り組みは大変重要であると考えております。そこで、今年度から、次の3つの取り組みを新たに始めたところです。 1つ目は、事業所への集団指導や実地指導等を通じて、保育士などの有資格者の配置など、今年度改正された国の人員配置基準遵守の徹底に向けた指導を強化しております。 2つ目は、今年度から、県内10カ所に設置している地域の中核機関である地域療育センターを活用し、療育技術のレベルアップを強化しております。具体的には、センターの専門職員が事業所を訪問し、現場において療育内容に応じた事業所職員への助言等を行っております。 3つ目は、現在、県内療育の拠点施設である県立こども総合療育センターによる研修会や、県南、県北2カ所に設置している発達障がい者支援センターによる支援者養成講座を行っております。加えまして、これらの専門機関による会議を新たに設置し、より効果的な研修等のあり方を検討するなど、事業所職員のさらなる専門性の向上を図っています。 今後も、市町村、教育機関等の関係機関と連携して、発達障害児やその御家族に寄り添いながら、放課後等デイサービス事業所の質の向上に向けた取り組みを進めてまいります。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) 御答弁をいただきましたけれども、私が発達障害に関してこの議会で初めて質問をしたのが平成21年の2月定例会だったと思いますけれども、9年前にその質問をしたんですけれども、そのときは非常に発達障害ということが、なかなか皆さん方、県民の皆さん方にも理解ができてないような状況でありましたし、身近で支援してくれる施設もほとんどなくて、親御さん方とのつき合いもありましたけれども、大変苦労しながら子供の療育をされていたというふうな記憶を思い出しました。最近は、放課後等デイサービスなどの事業所もふえて、療育の場が多くなったこと自体は大変ありがたいことですが、単に子供を預けるだけの事業所もあるというふうなことで、これは非常に問題ではないかなと思っております。 ぜひ、答弁にもありますように、専門的な療育ができてない事業所に対しては、事業所の療育技術のレベルアップであるとか、あるいは療育に携わる人のスキルアップとか、徹底した指導をお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に移ります。 5番目の質問は、イ業の振興についてであります。 このイ業の振興についても毎回質問をさせていただいておりますが、1歩でも2歩でも前進をさせたいという思いから、今回も質問をさせていただきます。 本県のイ業は、全国のイグサ、畳表生産の99%を占め、日本文化を象徴する和の空間を演出する重要な作物で、もちろん八代地域の基幹産業となっています。 これまでに、本県では「ひのみどり」などのオリジナル品種を育成し、品質の向上と生産の安定に取り組んできました。特に、3年前からは、収量の高い「涼風」が新たに作付されるようになりましたが、今や「涼風」は、全作付面積の4割以上を占め、農家の収益も増加しています。 また、畳表の輸入については、日中農産物貿易協議などが開催され、毎回、秩序ある貿易が約束されてきましたし、中国の経済状況の変化もあって、年々輸入量も減少してきており、そのため、近年は、県産畳表の価格は安定して推移をしております。 しかしながら、生産農家を取り巻く状況は厳しく、現在、作付面積は約530ヘクタールですが、平成元年のピーク時の10分の1以下の規模になりましたし、しかも毎年5%から10%の減少傾向が続き、500ヘクタールを切るのも時間の問題となっています。 しかし、厳しい状況の中にも、少しずつ光が見え始めているのも事実です。特に、製造中止となっていたポット式移植機やハーベスタについては、関係者が一体となってメーカーと交渉を進めた結果、メーカーの協力もあって、製造が再開されました。 特に、ハーベスタは、イグサ生産にとっては欠かせない機械で、農家の方も大喜びでしたし、やはり使いなれた機械でこれまでどおりに作業ができる、そのような環境を整えていくことが重要だと感じたところです。 また、現在、イグサ生産機械類の中でも、カセット式移植機の製造再開が強く望まれております。現在メーカーと交渉を重ねており、製造再開するには、最低製造数の確保が必要ということでありますし、農家の方からも、価格はどうなるのかとの心配もあります。しかしながら、これまで、イグサに関する問題は、関係団体、議会、行政が一体となって困難を乗り越えてきましたし、これからもチームイグサでこの課題に対応していかなければいけません。 そこで質問ですが、県として、イグサ産地の維持について、今後どのような取り組みを進めていくのか、特に、カセット式移植機については、地元JAや生産農家から製造再開の強い要望がありますが、どういった対応をしていくのか、農林水産部長に質問いたします。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) イグサの生産、加工は、機械、設備の初期投資が高額なため、新規参入が難しく、農家数の減少が産地全体の生産量の減収に直結する構造となっています。 このため、イグサ産地を維持するには、農家ごとの生産量の増加が何より重要となります。そこで、県では、高い収量が見込める「涼風」を開発し、その普及拡大を進めており、生産量は着実に増加しております。 その一方で、労働力の面から、一経営体だけでは畳表を加工できる枚数に限りがあるため、作付面積が頭打ちになるといった課題が生じております。そこで、今年度から、イグサ栽培の第一線から退かれた方の技術を生かし、作付農家の畳表加工作業の一部を担ってもらう、畳表加工専業のモデル事業に取り組んでおります。今後、経営面での課題や解決策を探りながら、普及につなげたいと考えております。 また、議員御指摘のカセット式移植機の製造再開につきましては、製造台数や価格など、産地と農機具メーカーの合意形成に向け、県として積極的にかかわってまいります。あわせて、イグサ産地の縮小により必要な機械が製造中止されるといった事態が今後発生しないためにも、産地規模の維持に向け、栽培から加工まで、総合的に支援してまいります。 今後も引き続き、関係機関と一体となって、意欲あるイグサ農家が安心して生産拡大に取り組める仕組みを構築しながら、イ業の振興に努めてまいります。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) 御答弁をいただきましたけれども、ぜひ、産地を維持するためにも、カセット式のこの移植機については、積極的な対応をお願いしたいと思います。 答弁では、現在、このカセット式移植機については、産地と農機具メーカーの合意形成に向けて、県として積極的にかかわっているというふうなお話があったかと思いますけれども、補助金のあり方などについては、これからの検討だというふうに思いますので、その補助金についても積極的にかかわっていただきたいというふうに思います。 もうイグサ農家も、かなり将来的なことを考えると厳しい状況になっておりますし、答弁にありますような作業の効率化はもちろんのことでありますが、農家の方が、質問でもちょっと書かせていただきましたが、今までどおりの機械で、今までどおりの作業をしてもらう、そのような環境を維持する、保全することも非常に重要だというふうに考えておりますので、これからは、県としても思い切った支援策を打ち出していただきますようにお願いをいたします。 それでは、次の質問へ移ります。 6番目の質問は、生きがい就労についてであります。 日本の人口は、平成20年をピークに減少しており、少子高齢化が進行しております。去年、人口問題研究所が公表した資料では、47年後の2065年には、国内総人口は9,000万人を割り込み、高齢化率は38.4%になるとの推計がなされたところであります。今後、さらに高齢化社会が進んでいきますが、とりわけ、高齢者がいつまでも健康で楽しく暮らせる環境をいかにつくるかは、本県にとっては極めて重要な課題です。 去る10月に、厚生常任委員会の管外視察で、千葉県柏市の豊四季台団地を訪問させていただきました。豊四季台団地は、54年前に建設された総戸数4,666戸の巨大団地でありますけれども、2010年時点で既に高齢化率が40%を超えて、当時から、柏市、東京大学、UR都市機構が一緒になって、超高齢社会に対応するための取り組みが行われています。 柏市の資料によると、これまでなれ親しんできた働くという生活スタイルと無理のない範囲で地域に貢献する生きがいとを結びつけた、いわゆる生きがい就労という新しい就労の形が提唱、推進され、現在、多くの高齢者が農業や保育や介護の現場で働いておられます。 現役を退いた高齢者が再び働くという形で地域に貢献し、生きがいを持って生活する、この生きがい就労の取り組みは、これからの社会では本当に大切な取り組みだと思ったところです。 国においても、平成28年度から、この柏市の取り組みをモデルにした生涯現役促進地域連携事業が始まって、生涯現役で活躍できる社会の実現が目指されております。 また、本県でも、去る9月に県総合福祉センター内に生涯現役プラザくまもとが開設され、高齢者就労を充実させる取り組みが始まっていますが、高齢化の進展が早い本県においては、この取り組みは非常に重要だと考えます。 そこで、この生きがい就労に対する取り組みをどのように進めていくのか、健康福祉部長に質問をいたします。  〔健康福祉部長古閑陽一君登壇〕 ◎健康福祉部長(古閑陽一君) 生きがい就労とは、高齢者が、これまでの知識や経験を生かして、希望に応じてできる範囲で働くというものです。 この生きがい就労を通じて、高齢者が収入を得るだけでなく、生きがいや健康づくり、さらには人手不足の解消にもつながる、極めて重要な取り組みであると考えております。 さらには、全国よりも早く高齢化が進む本県にとって、今後の地域社会の活力の維持は大きな課題であり、高齢者が生きがい就労という形で、社会の支え手として広く活躍していただく意義は、大変大きいものがあると考えております。 しかしながら、昨年度、総務省が行った労働力調査によると、全国では、65歳を超えても仕事を続けたいという高齢者が約7割を占めるのに対し、65歳以上の就業率は、2割程度にとどまっているのが実情です。 こうした状況を踏まえ、昨年、県が中心となり、福祉・医療、商工業、労働などの22の団体で構成する熊本県生涯現役促進地域連携協議会を設立いたしました。 この協議会では、本年5月に国の事業採択を受けて、大きく2つの事業に重点的に取り組むこととしております。 1つ目は、生きがい就労の啓発です。 生きがい就労の取り組みを多くの方に知ってもらうため、このたび、円谷プロダクションの協力を得て、団塊の世代になじみの深い「帰ってきたウルトラマン」を活用した、インパクトのあるシンボルマーク「ウルトラ65+」を設定し、情報発信を行っているところです。 今後は、講演、セミナーなどの開催に加え、就労体験などを盛り込んだイベントの開催なども行っていく予定です。 2つ目は、就労支援です。 職業紹介機関と連携して高齢者からの就労相談に対応するため、総合相談窓口、生涯現役プラザくまもとを、本年9月、県総合福祉センター内に開設したところです。 また、現在、東京大学先端科学技術研究センターと連携し、AIを活用した高齢者向けの就労情報を提供するシステムの導入にも取り組んでおります。 今後も、長寿で輝く社会の実現に向け、この協議会を核に関係団体と連携して、生きがい就労の推進に全力で取り組んでまいります。  〔小早川宗弘君登壇〕 ◆(小早川宗弘君) 御答弁をいただきましたけれども、生きがい就労については、豊四季台団地を視察させていただいて、非常に大切な取り組みだと感じましたので、ここでまた改めて質問をさせていただきましたけれども、特に、答弁にありますように、65歳を超えても働く意欲を持っている人が7割以上いるというふうなことで、それに対して65歳以上の就業率は2割程度しかないというふうなことで、こういう生きがい就労を進めていくことが非常に今求められているんではないかなというふうに思います。 また、働くことで自身の健康づくりやあるいは人手不足の解消にもつながってくるということで、ぜひこの取り組みを積極的に進めていただきたいというふうに思います。 ○議長(坂田孝志君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。
    ◆(小早川宗弘君) (続) 特に、本県においては、ことし9月に生涯現役プラザくまもとが開設されておりますので、この施設を拠点に、生きがい就労をもっともっと前進させていただきますようにお願いをいたします。 以上で私の質問は終わりであります。 ちょっと質問が多いかなと思って早口でしゃべったもんですから、なかなか皆さん方にはわかりづらい部分があったかなというふうに思いますが、次回は、ここに立てれば、もっといい質問をしていきたいというふうに頑張りたいと思います。 また、執行部の皆さん方には、いろいろと指摘をしましたけれども、ぜひそれぞれの取り組みに役立てていただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(坂田孝志君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩――――――○――――――  午前11時10分開議 ○議長(坂田孝志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 吉永和世君。  〔吉永和世君登壇〕(拍手) ◆(吉永和世君) 自由民主党・水俣市選挙区・吉永和世でございます。 まずもって、お亡くなりになられました、衆議院議員でございました園田先生、そして県議会議員でございました松村先生、村上先生のこれまでの御功績に対し、心より敬意を表し、感謝申し上げますとともに、心から御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。 今回、藤川方式を採用しまして大変項目が多くなりまして、終わるかどうかわかりませんが、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。 水俣・芦北地域振興計画についてお尋ねをいたします。 昭和31年の水俣病公式確認から62年が経過しました。水俣病の発生により疲弊した当地域の再生と振興を図るため、昭和53年の閣議了解に基づき、昭和54年度から策定されている水俣・芦北地域振興計画は、現在40年目を迎えております。 まず、第1次計画では、水俣湾の埋め立てを初めとして環境復元への取り組み、第2次計画においては、南九州西回り自動車道の整備や御立岬公園の整備、第3次計画では、九州新幹線の新水俣駅や水俣エコタウンの整備などが行われ、この第1次から第3次の計画において、主要なインフラの整備が進められてきたところであります。 また、第4次計画以降は、フィールドミュージアム事業による交流人口の拡大と観光振興などソフト事業の取り組みも強化され、第5次計画において設立した水俣・芦北地域雇用創造協議会は、地元の雇用創出を図るなど、なくてはならない存在になっています。 そして、現在、第6次計画において「環境と経済の好循環を実現し、『地域の活力と新しい豊かさ』を生み出す地域社会づくり」の理念のもと、農業協同組合の農業参入支援や水俣川河口臨海部振興構想など、さまざまな施策が展開されております。まさに振興計画があったからこそ、水俣・芦北地域の振興が図られてきたことは言うまでもありません。 一方、現在でも水俣病の風評被害も続いているなど、いまだ解決できていない地域課題が残されており、当地域の再生と振興が十分果たされていないという思いもあります。 こうした状況を踏まえ、知事も言われておりますように、引き続き、水俣病の認定審査を加速していくことはもとより、車の両輪として、当地域の再生と振興についても、さらに加速していくことが必要だと考えております。 特に、本年度は、南九州西回り自動車道の水俣インターチェンジの開通が予定されており、平成28年度から32年度までを計画期間とする第6次計画の折り返し時期に当たります。このため、今やるべきことは、計画に位置づけられた施策を着実かつ強力に推進すること、そして、これまでの成果や課題を検証する必要があると考えております。 また、これまでの県、市町の取り組みにより、地元の団体等においては、計画の重要性の認識が深まり、現計画の推進と次期計画策定への期待が高まっております。私自身も、残された課題を解決し、当地域をさらに発展させていくために、次期計画策定の検討を開始する時期にあると思っております。 そこで、知事は、次期計画の策定を含め、今後の水俣・芦北地域の再生と振興について、どのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 水俣・芦北地域振興計画について、私の考えを述べさせていただきます。 水俣病の発生は、水俣・芦北地域に自然環境の汚染や甚大な健康被害、社会経済基盤の脆弱化などをもたらし、地域の活力を著しく疲弊させました。 水俣病問題は、私にとって政治そのものであり、知事就任以来、被害者の方々の早期救済はもとより、水俣病発生の影響をこうむった地域全体の再生に全力で取り組んでおります。 水俣・芦北地域の振興は、「熊本県の具体的提案を待って対処する。」とした昭和53年の閣議了解に基づき、地元の意向を丁寧に確認しながら、水俣・芦北地域振興計画を策定し、国に提案を行ってまいりました。 また、本計画のもと、この地域の発展をなし遂げるという強い決意を持って、国、県、市町が連携し、国会議員、県議会議員の皆様方の御支援もいただきながら、さまざまな施策を推進してまいりました。 これまで6次40年にわたり取り組んできた施策の成果については、議員御紹介のとおり、着実に実を結んでおります。一方、いまだ解決できていない地域課題が残されているのも御指摘のとおりです。 このため、まずは、第6次計画の残された期間に、一つの区切りをつけるという気持ちで、計画に掲げられた施策を確実に実施してまいります。また、先月末に立ち上げた全庁的なワーキング会議において、第6次計画の成果と課題の検証をしっかりと進めてまいります。 その上で、今後の当地域の振興に向けて、次期計画の策定という形も視野に入れ、検討を行ってまいります。 県政を担う最高責任者として、今後も、水俣・芦北地域の再生をなし遂げるため、全身全霊で取り組んでまいります。  〔吉永和世君登壇〕 ◆(吉永和世君) 水俣・芦北地域振興計画が始まって40年ということでございます。 ここで歴代知事を申し上げますと、沢田知事、細川知事、福島知事、そして潮谷知事、そして今現在の蒲島知事でございまして、ちなみに、私は、潮谷知事のときに初当選ということでございます。 今知事の答弁お聞きしまして本当に安心した次第でございますが、これまで本当に、初当選以来、この計画を守り、継続してこられました山本先生にも心から感謝申し上げたいというふうに思います。 答弁にございました、11月末にワーキング会議を立ち上げたということでございまして、本当に知事のこの計画に対する強い思いが再確認できました。本当にありがたいというふうに思っております。 これまでの歴史の流れから見れば、今年度中に次への取り組みを判断、決断する、そういう時期に入ってくるのかなと、年度に入ってくるのかなと思っていますので、ぜひスピード感を持って、次への判断と決断をしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいというふうに思います。 次に、水俣港の活用についてのうち、まず、水俣港の特色を生かした活用策についてお尋ねをいたします。 水俣港は、熊本県の最南端に位置する港湾で、天然の良港であり、県南の主要な商工業港として位置づけられています。 一般貨物の取り扱いのために、昭和7年以降、百間地区において物揚げ場等の整備が進められ、昭和31年には貿易港として開港し、昭和35年には重要港湾に指定。その後、取扱貨物量の増大や船舶の大型化に伴って、水深6.5メートル岸壁、水深10メートル岸壁の整備が進められました。しかし、取扱貨物量の減少等により、平成12年4月の港湾法施行令の一部改正に伴い、現在は、地方港湾の指定となっています。 本港のフェリーを除く取扱貨物量は、昭和49年のピーク時は130万トンまで増加しましたが、平成に入ってから100万トンを切り、主に石灰石や原木その他非鉄金属物などが大きく減少しました。昨年、平成29年の取扱貨物量は、海外輸出入が約9.6万トン、国内移出入が約6万トンの合計約15.6万トンと、ピーク時の12%、約10分の1まで落ち込んでいる状況であり、現在は、原木が水俣港の主要取扱品種となっております。 また、取扱貨物量の減少に加え、水俣港と御所浦、本渡港を運航していたカーフェリーなどの定期航路も運航廃止となり、人流面においても利用が減少している状況にあります。 天然の良港である水俣港がうまく活用されていないことは、大変残念であり、惜しむべきことだと思います。例えば、佐賀県の唐津港では、港のスペックが5万トン級までという制約を逆手にとり、八代港に寄港しているような4,000人以上が乗船する16万トン級の大型クルーズ船などではなく、乗客が200人から500人程度のクルーズ船に照準を合わせて誘致に取り組んでおり、寄港数が伸びていると聞いております。水俣港の現在のスペックからも同様の取り組みが考えられるのではないでしょうか。 また、今年度中には南九州西回り自動車道・水俣インターチェンジの開通が予定されており、陸路での水俣地域の流入増加が期待されます。さらに、海の玄関口である水俣港を活用することができれば、より多くの人を呼び込むことが可能となり、水俣・芦北地域のさらなる活性化につながるものと考えます。 そこで、水俣港の特色を生かした活用策について、土木部長にお尋ねをいたします。 続けまして、2点目に、水俣港―本渡港間の航路創設についてお尋ねいたします。 水俣港は、先ほども触れましたように、以前は、御所浦港を経由して本渡港につながるフェリーの発着港としてにぎわっていましたが、利用低迷により平成19年に航路が廃止され、同港の利用者も減少したところであります。 しかしながら、私は、水俣・芦北地域の振興のためには、やはり水俣港の利活用が重要だと考えます。そのために、水俣港の利用者をふやすための新たな取り組みが必要だと考えています。 昨今、天草地域においては、天草市の﨑津集落が世界文化遺産に登録され、一躍注目を集めています。本県としては、このチャンスを生かして多くの人を呼び込み、天草市だけでなく、周辺地域の活性化につなげていかなければならないと考えます。ただ、現在の﨑津集落までの交通アクセスは脆弱であり、訪問をためらう人もいるのではないでしょうか。 例えば、福岡市内から﨑津集落へ行くためには、天草エアラインの利用、自家用車やレンタカーの利用、そして新幹線利用によるアプローチが考えられます。そのうち、新幹線の利用者は、博多駅を出発して鹿児島県の出水駅で下車し、陸路で長島町まで移動し、蔵之元港と牛深港を結ぶフェリーを利用して﨑津集落を訪れていると聞いておりますが、移動に長い時間を要します。私は、新幹線の利用であれば、手前の新水俣駅で下車し、水俣港から本渡港まで船舶で移動し、そこから﨑津集落に向かうルートが、航空機を除くと、最も短い時間で移動でき、訪問者の負担を軽減することが可能と考えます。 﨑津集落の世界文化遺産という盛り上がりを水俣港の活性化につなげるために、水俣港と本渡港を高速船等で結ぶ新たな航路を創設し、水俣港を天草への玄関口としてPRしてはいかがでしょうか。また、できるだけ早いタイミングで具現化することが大切だと考えます。 そこで、今後の展開について、企画振興部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 水俣・芦北地域の新しい活力と豊かさを生み出す地域社会づくりの実現に向け、交流人口の拡大を図るためには、水俣港の活用が重要と考えております。 県では、平成27年度から、国や水俣市とともに、水俣港の活用による地域活性化をテーマに、具体的な活用策の検討を行ってきたところです。 それを踏まえて、水俣市では、道の駅みなまたや物産館の整備に取り組むこととしており、将来的には、海の玄関口としての海の駅への登録や、バラ園やスポーツ施設等を備えるエコパーク水俣に隣接する水俣港を拠点とした「みなとオアシス」への登録を検討しております。 また、県としても、水俣市の取り組みに対する助言などを行うとともに、来年度からの供用開始に向け、海からの来訪者を迎え入れるための一時係留施設であるビジターバースの整備に取り組んでいます。今年度供用開始が予定されている南九州西回り自動車道・水俣インターチェンジとともに、新しい玄関口として、県内外からの多くの観光客等を迎え入れることが期待されます。 議員御提案のクルーズ船につきましては、水俣港は、水深10メートル、全長185メートルの岸壁を有していることから、乗客200人程度、1万トン級までの受け入れは可能です。 そこで、県では、まず1万トン級までのクルーズ船の誘致に向けて、関係部局や水俣市等と連携しつつ、船会社、船舶代理店、旅行会社等に対する観光資源の積極的なPRや乗客のおもてなし、地元の受け入れ体制の整備などに取り組んでまいります。 さらに、乗客500人程度、2万トン級のクルーズ船の受け入れが可能となるよう、航行安全に関する関係機関との協議や必要な施設整備等にも取り組んでまいります。 引き続き、海の玄関口として水俣・芦北地域の交流人口の拡大に貢献できるよう、地元とともに水俣港の特色を生かした活用策の実現に取り組んでまいります。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 議員御指摘のとおり、水俣港と本渡港を結ぶ新たな航路が創設されると、福岡から﨑津天主堂へは、出水駅経由のルートよりも短い時間で移動できるようになります。 しかしながら、当該航路は、フェリーが利用低迷により廃止になったものであり、また、九州管内で行われている高速船の実証実験で、現在のところ利用者が伸びず、収支が厳しい状況であることを勘案すると、現段階で高速船等での航路創設は難しいものと考えております。 一方、フェリー廃止後に運航されることになった、水俣港と御所浦港を結ぶ海上タクシーは、近年、利用者が増加しており、航路事業全体が低迷する中において健闘している状況にあります。 現在、週5日、1日当たり3便の予約制で運航されており、乗船可能人数は12人ですが、それ以上の予約がある場合は、追加で船を運航させることもできます。 高速船と同等のスピードで御所浦港まで行くことができ、そこで乗りかえて本渡港まで移動することもできることから、この海上タクシーの活用がさらに便利になれば、﨑津までの新たな観光ルートの創設につながるのではないかと考えているところです。 このルートを御所浦地域の観光とあわせてアピールすることにより、福岡や熊本からの観光客のみならず、インバウンドに対しても強くPRできるものと考えます。 﨑津集落の世界文化遺産登録というチャンスを水俣港の活性化にもつなげるため、今後、海上タクシーの活用による水俣と天草のアクセス強化に向けて、関係者と協議してまいります。  〔吉永和世君登壇〕 ◆(吉永和世君) 土木部長から、大変前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。 今後大事になってくるのは、観光資源の発掘といいましょうか、掘り起こしが大事だというふうに思いますが、大変な作業だと思いますが、地元水俣市等としっかりと連携していただきまして、早期実現をお願いしたいというふうに思います。また、大は小を兼ねるといいますから、2万トン級への整備も早急にお願いしたいというふうに思うところでございます。 また、水俣港ですけれども、横にエコパークがございます。多様なスポーツ施設が充実した、県の管理する公園でございますが、私も商船学校出でございますが、練習船の中では非常にストレスがたまりますので、そのストレス発散のために、よく陸に上がって、よくスポーツをやったりとかします。そういったスポーツをする場所として、すごく港のそばにありますので、水俣港はすごく魅力がございますので、クルーズ船以外の誘致も、そういった練習船等の誘致も、ぜひお願いできればというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。 また、企画振興部長から、高速船は無理だということでございまして、私も現段階では無理だというふうに思っておりますが、だからこそ、今現在存在する海上タクシーの充実をぜひ図っていただきたいなというふうに思うところでございます。現在、週5日の運航でございますが、ぜひこれをデーリー化していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。 2次交通が具現化しないと、旅行される方々は、なかなか旅行に行きづらいという面もございますので、この海上タクシーをぜひ2次交通として位置づけていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 この水俣港の活用にもなりますし、また、対岸にあります御所浦地域の振興にもつながることだというふうに思いますので、ぜひ、あわせてよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 次に、映画「Minamata(原題)」の制作についてお尋ねをいたします。 既に新聞等でも報道されましたので、御存じの方も多いと思いますが、1970年代に水俣病を世界に伝えた米国人写真家ユージン・スミス氏の生涯を描く映画制作の話が進んでおります。 ユージン・スミス氏は、第2次世界大戦中、従軍カメラマンとして、サイパンや沖縄を取材した後、1971年から約3年間、妻のアイリーンさんとともに、水俣に滞在しながら水俣病を取材し、1975年に今回の映画のもととなる写真集「MINAMATA」を発表されています。 今回の映画制作について知ったとき、私自身大変驚きました。なぜそんなに驚いたかといいますと、ユージン・スミス氏を演じるのが、ハリウッドの超大物俳優のジョニー・デップ氏だからであります。このことは、地元でも既に大変な話題となっております。 ちなみに、ジョニー・デップ氏が第1作目から主演を務めている世界的な大ヒット映画シリーズ「パイレーツ・オブ・カリビアン」のこれまでの累計興行収入は、日本国内だけでも430億円以上、世界では約45億ドル、日本円に換算すると、約5,000億円に達するそうであります。 今回の映画撮影は来年1月からスタートすると報道されていますが、既に、ことし9月には、監督や映画関係者が水俣を訪問し、胎児性患者やその御家族の方々などと面会されたと伺っております。 今のところ、水俣で撮影が行われるかどうかは確認できておりませんが、主演のジョニー・デップ氏が水俣に来るだけでも、かなりのPR効果や経済効果が期待されますので、水俣・芦北地域はもとより、熊本県にとってもビッグニュースだと思います。 しかしながら、一方では、水俣病に焦点を当てた映画が制作されることで、水俣病の負のイメージだけが世界的に広まってしまい、地域全体が再び傷ついてしまうおそれもあります。私は、この映画を通じて、世界中の人々に、豊かな海を取り戻した水俣の今の姿を知っていただけるよう願っております。 知事は常々、水俣病問題の解決は、御自身の政治の原点とおっしゃっていますが、今回の映画制作に関する知事の思いをお聞かせいただければと思います。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 議員御指摘のように、私にとって水俣病問題は、政治の原点であります。これまで、患者、被害者の方々の御要望を真摯に受けとめ、特措法の成立や日常生活の支援に取り組むなど、水俣病の被害に遭われた方々に寄り添ってまいりました。 今年度も、11月に水俣・芦北地域を訪問し、胎児性・小児性患者の方々やその御家族にお会いして、日ごろの心配事などについてお話を伺いました。高齢化が進んでいる患者の方々やその御家族に、将来にわたり安心して暮らしていただくため、改めて日常生活の支援の必要性を感じたところです。 そのような中、今回、1970年代の水俣を世界に伝えた写真家であるユージン・スミス氏の生涯を描く映画「Minamata」が制作されることを知りました。 スミス氏は、3年間にわたり水俣に滞在し、胎児性・小児性患者の方々やその御家族とも交流されていました。当時親交のあった患者の方々は、このニュースを知って、大きな驚きと期待を持たれたと伺っています。私も同じ思いであり、映画の成功を祈っています。 このような私の思いと、できることがあれば協力を惜しまないという気持ちをお伝えするため、先日、映画の監督を務めるアンドリュー・レヴィタス氏にメッセージをお送りしました。 私は、改めて、この映画がすばらしいものとなるよう期待しています。そして、ユージン・スミス氏が見ることのできなかった水俣の今の姿や、水俣が持つ人類共通の普遍的な教訓が世界中に届くことを心から願っています。  〔吉永和世君登壇〕 ◆(吉永和世君) 知事のこの映画に対する熱い思いをお聞かせいただきました。また、監督にも、もう既にメッセージを伝えられたということでございまして、大変心強く感じました。本当にありがとうございます。知事の答弁聞いておりまして、私も同じ思いでございます。 ある新聞記事に、水俣の今に光を当ててほしいという奥様アイリーンさんのコメントが紹介されておりましたが、まさしく同じ思いであろうかというふうに思いました。 ここで貪欲なことを言わせてもらえるならば、ぜひ水俣にジョニー・デップ氏においでいただきたい、そして水俣の新鮮な魚介類を食べていただきたいと思いますし、ワンシーンでもいいですから水俣で撮影をしていただきたいというふうに思っておりますし、水俣がだめなら県内でという思いもございます。 しかし、いずれにしましても、この映画がすばらしいものとなるよう期待しているところでございますので、本当に頑張っていただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に入らせていただきます。 質問の後半は、農林水産業の課題について、部長にお尋ねしたいと思います。 まず、農林水産業における新たな担い手の確保についてであります。 農林水産業は、自然と人間社会との交わりの中心に位置するなりわいであり、県民の命を支える食と、県民が安心して暮らせる環境を維持するために不可欠なものであり、国の根幹を支える産業であります。 また、農山漁村は、安定した生産とコミュニティーの両面があって初めて生活が成り立つ地域ですが、近年は、高齢化や過疎化が進行し、地域社会の活力の低下、地域資源、環境の維持が困難な状態を招いていると思います。 このような人口減や高齢化に歯どめがかからない農山漁村を活性化し、農地を保全し、連綿と引き継がれてきた伝統芸能や習慣を後世につなぎ、維持するには、地域外からの参入を含めた若い人材が不可欠であります。 県は、農林水産業の新規就農、就業者数を毎年公表しておりますが、直近、平成29年度の農、林、水の総数は575人で、地震前の平成27年度の634人から約1割減少しています。分野別に見ると、林業は79人で、年変動はあるものの、ほぼ横ばい。漁業は33人で、若干ながら増加しています。一方、農業では463人で、1割以上減少しており、近年では最も多かった平成25年度の666人に対して、約3割減少しています。 もし、このままの状況が続けば、農業県熊本の生産力の維持、拡大に支障を及ぼすだけでなく、地域住民の密接な結びつきのもとに成り立っている村機能も正常に働かないことも危惧されます。 一方、私の地元のJAあしきたは、平成27年度に農業に参入し、地域の担い手として、土地利用型農業とイチゴの複合経営を実践しています。 全国的には、人口流出、過疎化現象に逆行する流れとして、都市から農村などの過疎地域に移住、定住する流れである田園回帰も、1960年代中ごろから始まり、現在もその動きは続いているとの報道もあります。 ぜひ、多様な経験や価値観、技能を持った人材を受け入れ、生かして、農林漁業の振興や農山漁村の活性化への可能性が広がってほしいと思っています。また、新しい人材が、農林水産業を職業として選択し、食や生活を支える生産現場で活躍し、農山漁村のすばらしい景観や伝統文化を守り、集落機能やコミュニティーを次代に引き継ぐ流れを形づくってほしいとも思っております。 そこで、農林水産業における新規就農、就業について、特に、農業分野で減少している要因をどう捉えているのか。また、この状況を打開し、就農者の増加に向けて、どのように取り組んでいくのか。さらに、林業、水産業でも、就業者の増加につなげていくために、どんな取り組みを進めていかれるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。 続けまして、水俣・芦北地域における稼げる農業の推進についてお尋ねをいたします。 私の住む水俣・芦北地域は、日本の原風景と言えるような美しい農村が広がる風光明媚な地域です。そして、その中で営まれる農業は、この豊かな環境を育み、地域を支える重要な産業となっております。 しかし、農業生産の足元を見てみますと、地域のほとんどが中山間地域で、狭小な農地が多い水俣・芦北地域は、この10年で、販売農家戸数は2割以上減少し、農業産出額は約3割減少しています。県平均と比較しても10年以上早いペースで高齢化、担い手不足が深刻化しており、今後、少ない担い手で、いかに農地を保全しながら生産性を向上させ、安定した所得を確保していくかが大きな課題であり、水俣、芦北の農業をどう発展させていくかが熊本農業の今後を占う試金石であると私は考えております。 厳しい状況の一方で、生産者や関係機関の方々の長年の御努力により、全国に冠たるアマナツ、マル田ブランドに続く、水俣・芦北ならではの顔となるような品目も育ってきております。例えば、デコポン、サラダタマネギなどは、全国的に認知されたブランド作物に育ってきておりますし、肉用牛のあしきた牛も、各種共励会で上位入賞するなど、特色ある農畜産物の産地化も進んできております。 こうした多彩な農産物を生かした加工品の開発、販売も行われるなど、6次産業化の取り組みも進められております。中でも、デコポンゼリーやサラたまちゃんドレッシングは、観光客や地元客でにぎわう水俣・芦北地域の物産館で、生鮮の農畜産物とともに人気の定番商品として定着しております。 現在の水俣・芦北地域振興計画では、地域の恵まれた資源のポテンシャルを存分に発揮し、稼げる農林水産業を完成させるため、積極的に施策を展開するとされております。 そこで、水俣・芦北地域の主要品目である果樹、野菜、畜産などの振興を、これまでの成果を踏まえ、今後どのように考えておられるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) 1点目の農林水産業における新たな担い手の確保についてお答えします。 まず、農業分野での減少要因についてですが、国内の景気動向が上向き基調の中で、全国的に就農を見合わせる傾向が見られ、加えて本県では、震災の影響で、就農準備のための研修の受け入れ体制が十分整えられなかったことも一因と捉えています。 現在、県では、就農者の増加に向けて、農業後継者の確保と農業外からの新たな人材の獲得という2つの観点から取り組みを強化しています。 まず、農業後継者の確保に向けては、今年度から、農業大学校で、農業高校と農業大学校が同じテーマで研究を行う農高・農大一貫プロジェクトを開始するとともに、カリキュラムにGAPやスマート農業等を追加するなど、時代の変化に即応した教育内容の充実を図っております。 次に、農業外からの新たな人材の獲得に向けては、従来の就農相談会の開催に加え、本年度から、ハローワークに定期的な相談ブースを設けております。また、安心して就農してもらう仕組みとして、JAあしきたを初め、生産部会を含めた産地ぐるみでの支援が広がっており、さらに、農業法人協会においても、雇用就農者の増加につなげるための経営力強化に関する研修会等が開催されています。加えて、新規就農を目指す方々にとって課題となる就農前の技術習得や、営農開始時の初期投資に対する支援の充実についても検討してまいります。 一方、林業では、くまもと林業大学校を来年4月に九州で初めて開校し、200日間の長期課程により、林業に必要な技術と現場力を兼ね備えた即戦力となる人材を毎年20名育成するとともに、林業経営者のトップリーダーを養成する専門課程を設置します。 また、森林所有者や新たに森林経営を行うUターン者が、自伐林家として自立経営できるような講座も準備しております。 次に、水産業では、これまで親元就業が多いため、新たな担い手の増加を図る取り組みが重要であり、都市圏での漁業就業者支援フェアを活用し、就業相談や情報提供に努めるとともに、就業に向けた座学や実技の研修を実施しています。また、漁協等と連携し、漁船や漁具のリース制度を創設し、設備投資の支援を始めたところです。 今後は、水産業への就業に積極的に取り組む市町村との連携による新規就業者の拡大にも努めてまいります。 今後とも、本県の農林水産業の維持、発展と農山漁村の活性化のため、あらゆる施策を展開し、担い手確保に努めてまいります。 続きまして、2点目の水俣・芦北地域における稼げる農業の推進についてお答えします。 水俣・芦北地域振興計画に基づき、地域の強みや特徴を最大限生かしながら、地元との連携のもと、4つの視点を持って進めています。 1点目は、温暖な気候を生かした農業です。かんきつ栽培に適した園地と高い技術を背景に、デコポンを県下有数の産地に育ててきました。今後は、糖度等のさらなる品質向上を図るため、きめ細かな水分管理が可能なハウス施設の整備やヒリュウ台木の導入を推進し、市場でのなお一層の有利販売を実現してまいります。 2点目は、環境に配慮した農業です。減農薬・減化学肥料栽培による「サラたまちゃん」の機械化を進めた結果、栽培面積は、この10年間で17%増加しています。今後は、担い手不足にも対応するため、JAの出資法人であるそれいゆアグリによる農作業サポートにより、面積の維持、拡大を図ってまいります。 3点目は、収益力向上を目指した農業です。畜産では、農家の皆さんのたゆまぬ努力により、肉用牛が枝肉共励会で上位入賞するなど、高い評価を得ています。今後は、畜産クラスター協議会を中心に、畜舎の整備や機械の導入など、地域ぐるみでの畜産経営の収益力向上に積極的に取り組んでまいります。 4点目は、高付加価値化を図る6次産業化です。これまで、商品開発、加工、販路開拓など、ステージに応じた支援を行っており、デコポンゼリーなど、地域の農産物を使った特色ある加工品が販売されています。現在も、県南フードバレーの事業として、福田農場での「ゆうべに」の果汁を使った新商品の開発や、亀萬酒造と地元農家が連携した県育成酒米の「華錦」による酒づくりなどが展開されております。 今後とも、収益の柱となる農畜産物の生産力や販売力の強化を積極的に支援し、水俣・芦北地域における稼げる農業を実現してまいります。  〔吉永和世君登壇〕 ◆(吉永和世君) 1点目の担い手の確保についてでございますが、新たな人材の確保が極めて重要であると、だからこそ、あらゆる施策に取り組みたいということでございましたが、私にも相談ございます。農地がない、技術がない、お金がない、でも農業がやりたいという方が御相談に来られますが、そういう方々には、答えられるのは、やめたほうがいいんじゃないですかというふうに答えるしかないんですが、しかし、そういった方々に、ぜひ、手を差し伸べるじゃないですが、やはり農地の紹介であり、あるいはハウスがもし使えるんだったら紹介をするなり、また、そういったことに対する支援策をしっかりと充実させることによって、そういった方々の背中を強く押すことができるということは確実だというふうに思いますので、ぜひその点、積極的に取り組んでいただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。 次の2点目の稼げる農業の推進についてでございますが、生産力や販売力の強化を積極的に支援するということでございました。 生産と販売がやはりバランスよくいかないと稼ぐことはできないんだろうというふうに思いますので、そこら辺のバランスを持ってしっかりと取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。そのためには、やはり地元JAあるいは民間企業との強力な連携が必要かというふうに思いますので、その点もよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 それでは、引き続き、また農林水産部長にお尋ねをいたします。 次は、ふえつつある皆伐跡地への対応についてでございます。 森林には、木材の生産のみならず、水源の涵養、土砂災害の防止、地球温暖化防止といった公益的機能を有しているなど、我々の暮らしに欠かすことのできない存在であります。中でも、戦後の造林によって造成された人工林は、国土の3割に及んでおり、この貴重な資源を活用して、林業の成長産業化と地方創生の実現を進めていくことが期待されています。 県内の木材生産に目を向けますと、植林して50年から60年を経て、刈りどきを迎えていることや、木材価格の上昇、輸出等の木材需要の増加を背景に主伐が進んでおり、例年1,000ヘクタール前後で推移したものが、平成28年度は1,363ヘクタール、29年度は1,713ヘクタールと、大きく増加をいたしております。 県境の水俣・芦北地域は、人工林率が県下で最も高い地域であり、隣接の県からも伐採業者が入り、大型機械と作業路によって大規模な伐採地がふえつつあります。しかしながら、伐採後に植栽もせず、林業の持続性や林地の保全に配慮しない跡地が見られていることを懸念しております。 一方、本県の2倍の木材生産量で、杉の生産日本一を誇る宮崎県では、法により提出義務のある市町村への伐採の届け出について、市町村のチェックをかいくぐる形で、本来の森林所有者に無断で伐採し、植林もせずに放置する業者もいるようで、一部では、土砂崩れを誘発するというケースも報じられているところであります。 九州のような温暖多雨な地域では、伐採跡地に広葉樹が天然に生えるケースもあり、全てに植栽を行う必要はないと思いますが、台風や集中豪雨など大規模災害が全国で頻発している中、防災、減災を進める上でも、森林の機能を早期に回復させる必要がある場所においては再造林が必要であります。また、経営に適した森林では、林業の持続性を確保していくためにも、杉、ヒノキによる再造林が必要と考えます。 県内の伐採跡地における再造林された面積は、700ヘクタール前後で推移しているとのことであり、最近著しい主伐の伸びに対応できていないようであります。皆伐した素材生産事業体が森林組合に再造林を依頼しても、慢性的な人手不足や苗木不足等で順番待ちと聞いております。 そこで、今後、主伐の増加が見込まれる中で、無秩序な伐採を防ぐため、県はどのような対策を講じるのか、また、森林所有者の負担に配慮しつつ、再造林をふやしていくために、どのような対策を講じるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。 続けまして、八代海における水産資源の回復についてお尋ねをいたします。 本県は、有明海、八代海、天草灘の3つの豊かな漁場に恵まれており、それぞれの海域で特色ある漁業が営まれています。中でも八代海は、広大な干潟域でのアサリなどの採貝漁業や、カタクチイワシやエビ類等が、船引き網や打たせ網といった漁法で漁獲されており、各浦湾では、タイやブリ等の養殖業が営まれるなど、古くから豊かな海の恵みを享受してまいりました。 しかし、八代海の漁獲量は、平成19年に1万311トンでしたが、平成28年には7,555トンと、10年で2割以上も減少しています。また、近年、漁業活動に必要な燃油の高騰や、漁業資材の価格も上昇するなど、漁業経営は厳しい状況にあります。 このような中、八代海沿岸では、水産資源の回復を図るため、漁業者が中心となって、クルマエビなどの種苗放流を実施しております。私の地元である水俣・芦北地域においても、八代海の特産魚であるカサゴについて、放流サイズを5センチから7センチにまで中間育成して放流するとともに、放流効果の追跡調査を行うなど熱心に取り組まれており、その効果も実感されております。 また、県立芦北高校では、地元漁協と協力して、これまで、海の揺りかごとも呼ばれる藻場の再生に向けて、アマモの効率的な増殖手法の開発など、長年アマモ場の再生活動に取り組まれております。近年では、活動している芦北町・佐敷湾だけではなく、周辺の沿岸域にもアマモ場が拡大しております。 私は、一日も早く八代海の水産資源を回復させ、魚介類があふれる豊かな海として再生するためには、種苗の放流はもとより、限られた水産資源を有効に活用していくために、資源を管理する取り組みとあわせて、魚介類が産卵して、稚魚が育まれる場をつくっていくことも必要ではないかと考えております。 そこで、県では、八代海の水産資源の回復に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) 1点目の、皆伐跡地への対応についてお答えします。 まず、無秩序な伐採を防ぐための対策についてですが、議員御指摘の宮崎県における無断伐採を踏まえ、本県としても危機感を持って対応しています。具体的には、届け出業務を担う市町村職員への研修や、県独自の制度として、届け出が済んだことを証明する旗の掲揚等に取り組んでいるほか、市町村が有する伐採の届け出情報を県や森林組合等と共有し、相互に監視し合う体制の検討も始めております。 次に、伐採跡地への再造林対策についてですが、再造林への投資は大きな負担を伴いますので、国の補助事業や水とみどりの森づくり税の活用により、苗木代等への支援を行っています。 しかしながら、再造林に必要な苗木や労働力の不足が現場では大きな課題となっており、苗木の需給情報を苗木生産者と森林組合等の間で共有することで計画的な生産に取り組むとともに、苗畑の整備や苗木生産機械の導入など、苗木生産者の供給力向上に向けた支援を行っております。また、労働力不足を補うため、コンテナ苗を活用した主伐・植栽一貫作業システムの普及とともに、今後は、成長が早いエリートツリー等の導入に向けた実証等を行い、通常は5年程度かかる下刈りを3年以内に抑える取り組みを進めてまいります。 加えて、来年度からの新たな森林管理システムの導入を機に、再造林を意識した伐採作業の実施や、林地保全への配慮を内容とするガイドラインの策定も予定しています。 今後とも、伐採後の適切な再造林を確実なものとし、森林の持つ山地災害防止などの機能回復と林業の持続的発展に向けた対策を進めてまいります。 続いて、2点目の八代海における水産資源の回復についてお答えします。 県では、これまで、漁業者や市町と連携し、ヒラメやマダイ、ガザミなどの共同放流に取り組んでおり、今年度からは、新たにカサゴを加えるとともに、八代海の特産品であるアシアカエビや、高値で取引されるキジハタについて、将来の共同放流を目指した技術開発に着手しております。 また、水産資源の回復のためには、資源管理の取り組みも重要です。県の規則により、漁獲サイズや漁獲期間など必要な制限を行い、漁業者と一緒になって魚介類の保護に努めており、八代海では、水俣地域のシラス漁や芦北地域のエビ漁など、8つの地区で休漁日の設定や小型魚の再放流等の取り組みが行われています。 さらに、魚介類の産卵や育成の場で、すぐれた環境浄化機能を持つ藻場も、水産資源の回復には大変重要なことから、これまで藻場造成を着実に実施してきており、次期整備計画の策定に向けた地元との意見交換も既に開始しております。また、漁業者自身も、アカモク、ヒジキ、アマモなどの増殖に取り組んでおり、保全手法等の技術指導や新たな展開を働きかけております。 今後とも、漁協、市町との連携を密にしながら、種苗放流、資源管理、藻場造成が一体となった効果的な取り組みを推進し、水産資源の早期回復に努めてまいります。  〔吉永和世君登壇〕 ◆(吉永和世君) 1点目の皆伐跡地への対応についてでございますが、これまでの取り組みに加えて、相互に監視し合う体制づくりの検討に入ったということでございました。特に、県外業者をしっかりと監視する体制をつくっていただきたいなというふうに思います。 また、来年度から新たな森林管理システムを導入するということでございましたが、ぜひ、現状、そして今後出てくるであろう課題にしっかりと対応できるようなものにしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。 また、2点目の水産資源の回復でございますが、これまで全力で取り組んでいただいておりますことに対しまして、心から感謝申し上げたいというふうに思います。 私の地元の水俣の海、おかげさまで、大変きれいな海によみがえりました。本当にきれいでございます。漁業組合長も本当に喜んでおられまして、本当にきれいだというふうにおっしゃっておられますが、ただ、きれいな海と豊かな海とは比例しないということでございまして、これは難しい課題ではございます。 今後は、地域差はございますが、きれいな海で、そして豊かな海を目指す必要があるんだろうというふうに思っているところでございますが、そのためには、農林水産部だけでは、これはなし得ないことかなというふうに思います。できれば、要は、栄養塩のことを考えますと、下水処理施設を管理する土木部、そしてまた環境基準を管理する環境生活部、この連携によって取り組むことが大事だというふうに思いますので、ぜひ協議の場を設置していただくように、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 それでは次に、国土強靱化に向けた土砂災害対策についてお尋ねをいたします。 ことしも、西日本豪雨や相次ぐ台風、北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害が全国各地で相次いで発生し、多くの犠牲者が出ました。このうち、突然発生することから避難が困難な土砂災害については、国土交通省によりますと、10月末時点で、発生件数は3,312件、死者は161名と、甚大な被害が出ております。 このような頻発、激甚化する自然災害から国民の生命、財産を守るために、政府は、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策を今後3年間集中的に講じて、安心できる強靱な日本をつくり上げていくとの方針を打ち出しております。 本県では、ことしは比較的被害は大きくなかったものの、近年では、私の地元水俣市で19名の方々が犠牲になった平成15年7月の県南集中豪雨災害や、平成24年の熊本広域大水害、そして平成28年熊本地震などで大規模な土砂災害が発生をしております。 また、県内には、土砂災害の危険性が高い土砂災害警戒区域等が約2万1,000カ所指定されております。最近の気象状況を見ますと、今後も大規模な土砂災害が、いつ、どこで発生してもおかしくない状況ではないかと思います。 私は、土砂災害から県民の命を守り、安全、安心を確保するために、今の国の流れに乗って、防災、減災、県土の強靱化にしっかりと取り組んでいかなければならないと思います。 そこで、本県の土砂災害対策について、現在の施設整備状況を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか。 また、新たな施設整備に加え、これまでに整備してきた砂防や治山堰堤等が今後も十分に防災機能を発揮できるよう、損傷した箇所の維持、修繕や改築、更新、異常に堆積した土砂の撤去なども重要であると考えますが、これについてどのように取り組んでいくのか。 なお、これまでの被害の状況を見ると、ハード対策には限界があるため、自分の命は自分で守る、逃げるという意識づけも必要ではないかと考えますが、県はどのように取り組んでいくのか。 以上3点について、代表して、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) まず、施設整備状況を踏まえた今後の取り組みについてお答えいたします。 本県では、これまで、土砂災害の危険性の高い箇所において、保全する人家戸数や公共施設等の状況を踏まえ、砂防堰堤や谷どめ工などの整備を進めてきたところです。整備が完了した箇所では、土石流や流木を捕捉し下流の被害を防ぐなど、安全度が確実に向上しております。 しかしながら、県内には、土石流や斜面崩壊等により人命に著しい危害が生じるおそれのある土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンが約2万カ所も存在しております。 引き続き、土砂災害による被害の防止、軽減のため、県が独自で行っているレッドゾーンから安全な地域への住宅移転を促進するとともに、事業優先順位をつけながら、積極的に施設整備を進めてまいります。 次に、2点目の既存施設の機能維持への取り組みについてお答えいたします。 施設が果たす役割は、持続的に発揮させることが重要です。そのため、現在、所定の機能及び性能を長期にわたり維持、確保することを目的とした長寿命化計画の策定を進めており、砂防施設については、今年度完了する予定です。この計画に基づき、ストック効果が最大限発揮できるよう、適切な維持管理等に取り組んでまいります。 3点目の防災に対する住民への意識づけについてです。 近年、全国各地で記録的な豪雨により甚大な被害が発生しており、このような状況を踏まえると、施設整備とあわせて、適切な避難行動につながる取り組みが特に重要であると認識しております。 みずから逃げるという意識を高めていただくために、市町村におけるハザードマップ策定や避難訓練実施の支援、土砂災害の危険性を伝える広報活動に加えて、土砂災害警戒区域の個別周知やメディアと連携する取り組みなどを進めてまいります。 土砂災害から県民の生命、財産を守り、生活や経済を支えるインフラを保全するため、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策などの国の施策を最大限に活用し、引き続き、ハード、ソフト両面から県土の強靱化を図ってまいります。  〔吉永和世君登壇〕 ◆(吉永和世君) 県民の生命、財産を守ることが何よりも大事でございますので、しっかりとお願いしたいというふうに思います。 今回、政府におきまして、防災、減災、国土強靱化に対する緊急3カ年事業が取り組まれるわけでございますが、まずは、予定されております2次補正の獲得に向けて、全力で取り組んでいただきたいというふうに思うところでございます。 また、整備された既存の砂防設備等の機能が最大限に発揮されることも非常に大事なことでございます。ただ、この件に関しては、これは県の単費でやるということになっているというふうに聞いておるわけでございますが、その点も今後やはり国土の防災、減災にとっては大事なことなので、できれば国のほうにしっかりと要望して、国のほうで対策していただけるような取り組みも一緒に頑張っていければというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。 ○議長(坂田孝志君) 残り時間が少なくなりましたので、発言を簡潔に願います。 ◆(吉永和世君) (続) 最後に、肥薩おれんじ鉄道の新駅設置について要望させていただきます。 おれんじ鉄道は、来年3月で開業15周年を迎え、現在、この鉄道を舞台とする映画「かぞくいろ」が公開され、注目を集めております。 会社では、おれんじ食堂などいろいろなチャレンジをされておりますが、今後の持続的な経営のためには、利用者をふやして安定的な収入の確保が必要であります。例えば、佐賀、長崎の両県にまたがる松浦鉄道では、開業後10年間で25の新駅を設置して、現在57駅あり、需要の掘り起こしで開業時の水準を維持していると聞いております。 おれんじ鉄道は、現在28駅ありますが、開業後の設置は、たのうら御立岬公園駅の1つだけでございます。 鉄道駅の可能性でいえば、沿線にあるエコパーク水俣は、県内外から多くの人が集まり、この付近に新駅を設置すれば、鉄道の利用者増が期待されます。そして、エコパーク水俣の活性化の取り組みとおれんじ鉄道による誘客をあわせてできれば、一層の水俣・芦北地域の振興につながるものと考えます。 今後、新たな利用者を確保するため、おれんじ鉄道の筆頭株主であり、エコパーク水俣の管理者である県に、主体的に新駅設置を検討してほしいと考えておるところでございます。 以上、県の主体的な検討をお願い申し上げ、要望とさせていただきます。 以上が通告しました質問でございました。どうにか無事に終了することができました。本当に心配しましたが、秒読みを見ながら、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(坂田孝志君) 以上で通告されました一般質問は全部終了いたしました。 これをもって一般質問を終結いたします。    ――――――○―――――― △日程第2 議案等に対する質疑(第1号から第37号まで) ○議長(坂田孝志君) 次に、日程第2、目下議題となっております議案第1号から第37号まで等に対する質疑を行います。 質疑の通告があっておりますので、発言を許します。 なお、発言時間は10分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 山本伸裕君。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 日本共産党の山本伸裕です。 知事の議案説明にありました仮設供与期間の2度目の延長についてお尋ねします。 熊本県は、10月1日、熊本地震の被災者が入る仮設住宅の入居期限をさらに1年延長し、最長4年とすることを発表しました。延長の決定は、今なお仮設住宅での生活を余儀なくされている方が多数いらっしゃる現実を見れば当然でありますが、そもそも、延長を認める上での要件を設定していること自体が問題であります。 再延長するに当たり、今回さらにその要件が狭められ、民間住宅を探しているが見つからないといった理由は、要件から除外されました。そうすると、例えば、住まい再建のための資金があり、再建を進めているが、供与期間内の工事完了は間に合わないという方、こうした方は、延長は認められます。ところが、例えば、住宅再建の見通しは立たない、現在みなし仮設に入っており、家賃が発生すればその家賃が払えない、ほかに入居できる賃貸物件を探しているが、条件に合う物件が見つからない、こうした方は、延長が認められないということになります。どちらのケースも、私は延長が認められるべきだと思いますが、後者のように、次の住まいが見つかっていない人であっても延長を認めないというのは、余りにも冷酷なやり方ではないでしょうか。 報道によれば、原則対象外となったところについても個別事情も勘案するとのことですが、原則対象外とすること自体が問題であり、これは、被災者の事情からではなく、あいている民間賃貸物件が多くあるという事情から出発している発想ではないのでしょうか。そうしたやり方では、知事が強調された、被災者の状況を丁寧に把握しながら、お一人お一人に寄り添った効果的な支援に努めるというやり方にはならないのではないでしょうか。 蒲島知事は、9月20日の県議会代表質問に対する答弁の際に、仮設住宅の入居期限再延長に向けて、国と協議しているということを答弁されました。私は、最初の延長の際に要件を設けたことに関して、直接政府交渉を行って、私ども日本共産党の国会議員とともにかなり突っ込んで内閣府担当官にお尋ねしたのですが、その際の回答は、国としては、延長することに要件をつけたりはしていない、あくまで熊本県の判断でしょうというものでした。 そこで、知事にお尋ねします。 入居期限再延長に関しての国との協議の中で、少なくともこれ以上要件を狭めないようにと国に対して求めることはされなかったのでしょうか。それとも、内閣府が回答したとおり、国は延長に際しての条件は何もつけなかった、あくまで県独自に要件を設けたということなのでしょうか。端的に御答弁をお願いします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、被災者の住まいの再建なくして、熊本地震からの復興はないと常々申し上げてきました。 仮設住宅は、あくまで被災された方々の一時的な仮の住まいです。そのため、仮設住宅の供与期間の延長がゴールではなくて、恒久的な住まいを一日も早く再建する、これこそが私たちが目指しているものであります。 県としては、まずは、供与期間中の再建に向けて、できる限りの後押しをし、その上で、やむを得ない事情のある方については延長を行うこととしています。 また、仮設住宅の供与期間の延長は、県独自に定められるものではありません。災害救助法に基づき、2年を超える場合、要件も含め国と協議し、同意を得た上で定めることとなっております。これまでの災害においても、同様の取り扱いが行われています。 東日本大震災においては、地震とその後の津波により、広範囲にわたり壊滅的な状態となりました。そのため、高台移転や大規模なかさ上げによる町そのものの再生が必要となるなど、その特殊事情が考慮され、2年間だけは一律に延長されるという特例的な扱いとなりました。なお、現在は、本県と同様の要件となっています。 今回、国と協議するに当たって、まず、関係市町村から、供与期間中に自立再建できない、やむを得ない事例について、聞き取りや意見交換を行いました。また、不動産関係団体からも、現在の賃貸住宅物件の状況を聴取し、あきが十分にあることを確認しました。 その上で、国との協議を重ねた結果、自己の都合によらない、やむを得ない事情のある方について延長の同意を得たところです。 具体的には、益城町の土地区画整理事業、そして4車線化など公共事業の関係で自宅の再建に着手できない方、災害公営住宅が未完成で入居できない方のほか、資材や人手不足により自宅の再建が間に合わない方が該当します。そのほかにも、真にやむを得ない理由がある方については延長できることとしています。 現在、来年4月に供与期間満了を迎える方から、順次延長手続を進めていますが、提出いただいた届け出書をもとに、個々の状況をしっかりと確認しながら、手続を進めています。 その上で、特に、民間賃貸住宅への再建を希望される方々に対しては、被災者生活再建支援金や5つの支援策を詳しく説明し、住まいの再建相談員が被災者の希望に沿った物件を案内することにより、自立再建を丁寧に支援しているところであります。 さらに、どうしても民間賃貸住宅での再建が難しい方には、災害公営住宅を初め、既存の公営住宅や木造仮設住宅の利活用により住まいの再建を後押ししています。 今後も、被災者お一人お一人の実情や意向を踏まえ、一日も早い恒久的な住まいの再建の実現に向けて、市町村と連携しながら全力で取り組んでまいります。 ○議長(坂田孝志君) 山本伸裕君。――残り時間が少なくなりましたので、質疑を簡潔に願います。  〔山本伸裕君登壇〕 ◆(山本伸裕君) 民間賃貸住宅での再建を希望される方々には、住まいの再建相談員が希望に沿った物件を案内するなどにより、丁寧に支援しているとの御答弁がありました。 しかし、希望に沿った物件が見つからなければ、見つかるまで丁寧に支援するという姿勢こそ被災者に寄り添った支援であって、期限を切って延長を認めないというやり方が、どうして丁寧な対応と言えるでしょうか。 民間賃貸に入居された経験をお持ちの方なら、どなたでもおわかりいただけると思いますが、住まいの選択は、普通、誰でも後で後悔しないように拙速を避け、希望する条件に合う物件を慎重に探すわけです。家族の中に体の不自由な高齢者や障害を持った方がいらっしゃるとか、学校に通学している子供さんがいるとか、ペットがいるとか、商売をなさっているとか、それぞれの家族には、それぞれの御事情があります。延長を認めないということは、たとえ希望に見合う物件が見つからなくても、あいている物件はたくさんあるんだからどこかに入りなさいということになるではありませんか。そうしたやり方で、被災者の心の復興、暮らしの復興が伴った住まい再建が実現していくとは私は思えません。 知事は、仮設住宅の供与期間の延長は、県独自に定められるものではなく、災害救助法に基づき、要件も含め国と協議し、同意を得た上で定めることになっていると答弁されました。正確に表現すべきだと思いますが、熊本地震のように、特別非常災害に指定された災害である場合、供与期間の延長については、都道府県知事がその必要性を判断し、内閣総理大臣の同意を得た上で延長することとされております。つまり、蒲島知事が、延長する必要性があるかどうかを第一義的に判断する立場にいらっしゃるわけであります。県独自に定められるものではないなどとおっしゃらずに、ぜひ、被災者の願いを代弁するという御決意で、堂々と国に対して物申していただきたいと思います。 また、知事は、東日本の場合の一律延長は、壊滅的な被害を受けた特殊事情を受けての特例的な扱いであったと言われました。確かに、被害全体の規模は違うでしょうが、住まいをなくし、再建の見通しが立たないという被災者一人一人にとってみれば、事情は同じであり、災害の違いによって被災者支援の水準に格差がつくられるというのは、あってはならないことだろうと思います。 そうした点も、ぜひ、知事におかれましては、要件撤回を国に求められますよう、改めて強調しまして、質疑を終わりたいと思います。 ○議長(坂田孝志君) これをもって質疑を終結いたします。    ――――――○―――――― 知事提出議案第38号から第46号まで ○議長(坂田孝志君) 次に、お諮りいたします。 知事提出議案第38号から第46号までが提出されましたので、この際、これを日程に追加し、一括して議題といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(坂田孝志君) 御異議なしと認めます。よって、知事提出議案第38号から第46号までを日程に追加し、一括して議題とすることに決定いたしました。 知事提出議案第38号から第46号までを一括して議題といたします。  ――――――――――――――――― 第38号 平成30年度熊本県一般会計補正予算(第6号) 第39号 平成30年度熊本県港湾整備事業特別会計補正予算(第2号) 第40号 平成30年度熊本県流域下水道事業特別会計補正予算(第2号) 第41号 平成30年度熊本県電気事業会計補正予算(第3号) 第42号 平成30年度熊本県工業用水道事業会計補正予算(第1号) 第43号 平成30年度熊本県有料駐車場事業会計補正予算(第1号) 第44号 平成30年度熊本県病院事業会計補正予算(第2号) 第45号 熊本県一般職の職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について 第46号 熊本県職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について    ――――――○―――――― 知事の提案理由説明 ○議長(坂田孝志君) 次に、ただいま議題といたしました議案に対する知事の説明を求めます。 知事蒲島郁夫君。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 本日追加提案しました議案について、御説明申し上げます。 まず、補正予算については、去る10月12日に県人事委員会から勧告のありました職員の給与改定等の実施に伴い、給料、期末・勤勉手当等の額を引き上げるものです。 これにより、一般会計は、冒頭提案分と合わせ63億円の増額補正となり、補正後の一般会計予算額は8,611億円となります。 あわせて、この給与改定等に伴う条例改正を提案しております。 これらの議案について、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。    ――――――○―――――― 人事委員会の意見(第45号及び第46号) ○議長(坂田孝志君) 次に、ただいま議題といたしました議案のうち、第45号及び第46号につきましては、職員に関する条例案であり、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を聞く必要がありますので、ただいまから人事委員会の意見を求めます。 人事委員会委員長出田孝一君。  〔人事委員会委員長出田孝一君登壇〕 ◎人事委員会委員長(出田孝一君) ただいま追加提案されました議案第45号及び議案第46号につきまして、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき人事委員会の意見を申し述べます。 議案第45号については、本委員会が本年10月に当議会と知事に対して行いました職員の給与等に関する報告及び勧告の内容に沿いまして、地域の民間給与との均衡を図るため、本年4月にさかのぼって給料表の引き上げ改定を行うもの等であり、適当であると考えます。 次に、議案第46号につきましては、国の改正に準じて、夜間看護手当額を引き上げるものであり、これまた適当であると考えます。    ――――――○―――――― 議案に対する質疑(第38号から第46号まで) ○議長(坂田孝志君) 次に、ただいま議題といたしました議案第38号から第46号までに対する質疑を行いますが、ただいままで通告はありません。よって、質疑なしと認めます。    ――――――○―――――― △日程第3 知事提出議案委員会付託(第1号から第46号まで) ○議長(坂田孝志君) 次に、日程第3、目下議題となっております議案第1号から第37号までにつきましては、さきに配付の平成30年11月熊本県議会定例会議案各委員会別一覧表のとおり、議案第38号から第46号までにつきましては、さきに配付の同一覧表(追号)のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔各委員会別一覧表は付録に掲載〕    ――――――○―――――― △日程第4 請願の委員会付託 ○議長(坂田孝志君) 次に、日程第4、今期定例会において受理いたしました請願は、議席に配付の請願文書表のとおりであります。 これをそれぞれ所管の常任委員会に付託して審査することといたします。  〔請願文書表は付録に掲載〕    ――――――○―――――― △日程第5 休会の件 ○議長(坂田孝志君) 次に、日程第5、休会の件を議題といたします。 お諮りいたします。 明11日は、議案調査のため、12日は、各特別委員会開会のため、13日、14日及び17日は、各常任委員会開会のため、18日は、議事整理のため、それぞれ休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(坂田孝志君) 御異議なしと認めます。よって、明11日から14日まで、17日及び18日は休会することに決定いたしました。 なお、15日及び16日は、県の休日のため、休会であります。    ――――――○―――――― ○議長(坂田孝志君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。 次の会議は、来る19日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後0時25分散会...